店頭に球根が並びはじめると、「もう植えていいのかな」と迷いますよね。
花農家の田中花子です。
球根は種類によって植え時が違っていて、チューリップは意外と遅めです。
この記事では、種類別の適期、早植えと遅植えの見分け方、買ってから植えるまでの置き方を、畑に立つ目線でお伝えします。
読み終えるころには、今年の植え付けの段取りが描けるはずです。
秋植え球根の植え時は種類ごとに違う
種類別の植え付け時期の目安
球根と聞くと「秋になったらまとめて植えるもの」と思われがちですが、実は種類によって植え時がずれています。
私の畑でも、早めに動かす球根と、じっくり待つ球根に分けて段取りを組んでいます。
タキイ種苗の秋植え球根の植え付け案内をもとに、主な球根の目安を整理すると次のとおりです。
| 球根の種類 | 植え付けの目安 |
|---|---|
| スイセン・クロッカス | 9月下旬〜10月 |
| ヒヤシンス | 9月下旬〜11月 |
| チューリップ | 10月下旬〜11月上旬 |
| ムスカリ | 11月 |
| アリウム | 気温が15℃以下になってから |
ヒヤシンスは、タキイ種苗では10月まで、富山県花卉球根農業協同組合のヒヤシンスの育て方では11月までと、資料によって終わりの月に幅があります。
それだけ「ここまでならOK」という余裕がある球根だと受け取ってください。
表の月は地域と年で前後する
表の月は、あくまで関東以西を基準にした目安です。
富山県花卉球根農業協同組合の案内も、関東以西を基準に書かれています。
寒い地域は表より早めに、暖かい地域は表よりゆっくりめに、と考えると外しにくいですよ。
残暑が長引いた年は、カレンダーの日付が来ても、私は植えるのを数日待ちます。
暦より気温と地温で決めるのが確実
早植えは芽だけ先に伸びやすい
「早く植えたほうが、根がしっかり張りそう」と思う気持ちは、よく分かります。
私も畑に立つと、球根の袋を開けたくてそわそわしてしまいます。
ただ、暑さが残るうちに植えると、土の中で球根が目を覚ましてしまいます。
冬が来る前に葉だけが伸びてしまったり、湿った暖かい土の中で球根が傷んだりすることがあるんです。
とくにチューリップは、ほかの球根より遅めに植えるのが基本です。
遅すぎても根が張らない
かといって、寒くなってから慌てて植えればいいわけでもありません。
サカタのタネのチューリップの育て方では、地温が10℃を割らない時期に植えると根張りがよくなると説明されています。
球根は、春に咲く花のための根を、寒い季節のうちに張っておく必要があります。
地面が冷えきってから植えると、根を伸ばす時間が足りなくなり、春の花つきや草丈に響いてきます。
つまり、暑さが落ち着いて、でも地面が冷えきる前という、意外と短い期間が植え時です。
園芸用の地温計があれば、土の中の温度を測って目安にできます。
迷ったときの判断ポイント
日付で迷ったら、次の順番で考えてみてください。
- 日中に汗ばむ日が続くうちは、チューリップの植え付けを待つ
- 朝晩に肌寒さを感じるようになったら、スイセンやヒヤシンスから植える
- 地面が冷えきる前に、すべての球根を植え終える段取りにする
- 種類が多いときは、早い種類から数日おきに分けて植える
一度に全部植えようとせず、種類ごとに日を分けるくらいのほうが、結果的に失敗が減ります。
球根を早く手に入れても、植えるのは待つ。
これだけで、春の咲き方がずいぶん変わってきます。
土の準備と植え付けの深さで春の咲き方が変わる
植える1か月前から土の準備を始める
地植えにするなら、植える日から逆算して土づくりを始めておくと安心です。
サカタのタネのチューリップの育て方では、苦土石灰を植え付けの1か月以上前にまいておくよう案内しています。
そのあと、完熟堆肥や腐葉土などを土の量の2〜3割ほど混ぜて、30〜40cmほど深く耕します。
水はけのよい土が向いているので、雨のあとに水がたまる場所は、この段階で改善しておきたいところです。
チューリップを10月下旬に植えるつもりなら、9月のうちに石灰をまいておくくらいがちょうどいいんです。
球根が店頭に並ぶ時期は、畑では土づくりの時期でもあります。
深さは球根の高さの2〜3倍が目安
植え時が決まったら、次は深さです。
タキイ種苗の案内では、球根の高さの2〜3倍程度が目安とされています。
サカタのタネのチューリップの育て方でも、標準は球根の高さの2〜3倍です。
浅すぎると、冬の乾燥や霜の影響を受けやすくなります。
深すぎると、芽が地上に出るまでに時間がかかってしまいます。
サカタのタネでは、チューリップの深さと間隔を次のように示しています。
| 植え方 | 深さ | 間隔 |
|---|---|---|
| 地植え | 4〜7cm | 5〜10cm |
| 鉢植え | 2〜3cm | 2〜5cm |
向きをそろえて、根を傷めないように置く
球根は、とがったほうを上にして置きます。
穴に入れたら、土の中に押し込まず、そっと置いてから土をかぶせてください。
根は一度傷むと、そこから再生しにくいと言われています。
畑でも、球根を穴に置くときは、根が出てくる底の部分に触れないよう気をつけています。
植えたあとは、冬も水を切らさない
植えつけたあと、地上に何も見えない冬の間は、水やりを忘れがちです。
サカタのタネでは、冬に土を乾かすと根張りや生育が悪くなると注意しています。
とくに鉢植えは、一度でも土をカラカラにすると、花が咲かなくなるおそれがあるそうです。
地植えなら、雨が降らない日が続いたときに、たっぷり水をあげてください。
球根の選び方と、植えるまでの置き場所
買うタイミングは、こだわりで決める
球根は、植え時よりだいぶ前の9月ごろから店頭に並びはじめます。
NHK出版「みんなの趣味の園芸」の記事購入前に知っておきたい!よい球根を見分けるコツと、買い時のポイントでは、品種にこだわるなら出回りはじめに買うのがよいと紹介されています。
11月の植え時期には、売り切れてしまう種類もあるからです。
一方で、品種にこだわりがなければ、植え時に買うのも一つの方法です。
保管の手間がかからないうえ、割引やまとめ売りでお得になることもあります。
よい球根を選ぶチェックポイント
同じ記事によると、チューリップやクロッカスのような球根は、コロンとしていて重みがあり、つやつやしているものがよいそうです。
薄い外皮がむけていても、球根そのものに傷がなければ大丈夫です。
買うときは、次の点を見てください。
- 手に持ったとき、大きさのわりにずっしりしている
- 表面につやがあり、押しても柔らかくない
- カビや傷、へこみがない
畑で球根を扱っていると、見た目は立派でも軽い球根はどこか元気がありません。
売り場で迷ったら、持ち比べて重いほうを選ぶのが、私の一番の目安です。
植えるまでの間は、涼しい日陰で風通しよく
早めに買った球根は、植えるまで涼しいところで預かります。
直射日光を避けて、風通しのよい場所に置いてください。
購入した袋のままレジ袋に入れておくと蒸れやすいので、通気性のよいかごや紙袋に移すと安心です。
富山県花卉球根農業協同組合の案内では、日の当たらない涼しい場所で保管し、紙袋に入れて冷蔵庫に置いてもよいとされています。
夏の暑さが残る部屋に置きっぱなしにするより、そのほうが球根は落ち着きます。
ヒヤシンスの球根は、素手で触ると肌に合わない方もいます。
気になる方は、手袋をして扱ってくださいね。
まとめ
秋植え球根は、秋になったらまとめて植えるのではなく、種類ごとに植え時を分けて考えるのがコツです。
スイセンやヒヤシンスは9月下旬から、チューリップは10月下旬ごろからと、球根によって時期がずれています。
- 暑さが残るうちは待ち、地面が冷えきる前に植えるのが基本
- 深さは球根の高さの2〜3倍、間隔は球根が触れない程度
- 買った球根は、涼しい日陰で風通しよく預かる
- 植えたあとも冬の間は、土を乾かしすぎない
私は、球根を植える作業は「春への手紙を土に埋める」ような時間だと思っています。
あわてず、あなたの地域の空気が少し冷たくなったころに、そっと土に置いてあげてください。